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今回のご質問
「職場が遠く、片道2時間かかっています。通勤とはいえ職場に行くために必要な時間なのですが、残業時間扱いにしてもらうことはできませんか?」
今回のお答え
通勤時間を労働時間とするのは難しそうです。
ただ、そうとも言い切れない場合もあります。なぜなら・・?
今回のポイント
通勤時間と労働時間の違い
職場に行くために必要な時間だから少しは認めて、という気持ちもわからなくはないので、順を追ってみていきましょう。
そもそも労働時間というのは会社から業務の指示を受けて、それに応えないといけない時間のことを指しますが、通勤時間というのはそれにあてはまるでしょうか?
新聞を読んだり、メールを見たり、睡眠をとるなど、各自好きなことをすることができる時間ですよね。というわけで残念ながら通勤時間は労働時間にはならないです。
労災は支払われる?
ちなみに、労災について確認しておきましょう。実は労災では通勤災害といって、通勤途中でも保障の対象になります。労災は業務をしている途中に業務による原因でケガや病気になった場合に支給される保険ですが、通勤についてはほぼ業務と切っても切り離せない、ということから支給対象に含まれているのですね。
通勤途中に雪で転んで骨折した、などの場合は労災が使えますから、会社に申請しましょう。ほぼ自己負担なしで治療を受けることができますよ。
通勤時間でも労働時間とみなされる可能性
というわけで通勤による移動は労働時間とならない、ということをお伝えしてきましたが、労働時間とみなされる可能性が考えられるケースがあります。
例えば、運転を命じられる場合。明日車で朝イチでお客様を迎えに行って、そのあと〇〇部長のご自宅によって、そのあと出社しろ、などのような場合。こういう時は通勤ではなく、業務ですので労働時間と考えるのが自然と思われます。
実際の現場では
通勤時間が長いと翌日の仕事にも影響があるので、残業時間としてではなくても、なんらかの配慮があればとつい願ってしまいますが、残念ながらうまくいかないものです。
逆に通勤時間が短いといろいろな面で本当に楽ですよね。
働き方改革などで働く場所がどんどん変化していく中、通勤や移動という概念についても変化が起こるかもしれませんね。
なお、この内容は起こり得る事例を想定し、一勤務社労士の知識と経験に基づいて
一般的な解説をお伝えしています。
実際の個々の事例においては様々な要因を考慮する必要もございます。
必ず上司の方や人事部・総務部、労働組合の方などとご相談やご確認のうえ、慎重なご対応をしていただくことをお勧めいたします。