今回の質問
「転職した会社から、試用期間を延長するといわれました。
試用期間中は社会保険なども入れてもらっていないので不安です。
どうすればいいのでしょうか・・。」
今回のポイント
・試用期間とは
そもそも試用期間とはどのようなものなのでしょうか。
その名の通り、お試し期間なのですが、なぜこのようなものがあるのでしょうか。
多くの場合、日本では正社員の場合、一旦採用してしまうと、定年までの長期の雇用になる
ことがほとんどです。
日本の法律では採用した後の解雇というのはとても難しく、よほど合理的でやむを得ない場合でないと解雇は認められません。
ですので、正式な雇用関係になる前に適性や能力を見極めたいということから、試用期間というものが設けられているのです。
・試用期間で本採用拒否になるケースとは
とはいえ、試用期間だからといってどんな理由でも打ち切りにしてよいかというとそうでもありません。一般的な解雇よりはそのハードルは低いといわれているものの、勤務態度の不良や成績不良、業務遂行能力、協調性、経歴詐称その他に対して客観的に不足があり、また、指導を繰り返しても改善の期待が薄いなどの場合でないと、本採用の拒否が認められにくくなるでしょう。
・試用期間は延長できるのか
試用期間中の身には試用期間を延長されてしまうと不安だと思いますが、その期間内に見極めができないと判断された場合は、延長は可能です。
ただし、一般的には3か月から6か月とされていますので、1年の延長などは難しいと言わざるを得ません。
・試用期間中の社会保険や労災はどうなる
ご質問の例では、試用期間中の社会保険は加入してもらえないようでしたが、これは間違いです。入社と同時に社会保険(健康保険や厚生年金など)や、雇用保険も加入手続きを行う必要がありますので、もし手続きがされないようでしたら申し出ることができます。
実際の現場では
今回は試用期間について取り上げました。採用される側からすると不安な期間ではありますが、よほどのことがないと試用期間満了でうちきりというのは少ないのではないかと思います。
逆に会社側からするととても大切な期間といえます。特に中途採用の場合は数回の面談しか判断のチャンスがないまま採用の見極めをせざるをえません。本採用にあたり重大な問題がかくれていないか、注意をしたい期間であると思います。
なお、この内容は起こり得る事例を想定し、一勤務社労士の知識と経験に基づいて
一般的な解説をお伝えしています。
実際の個々の事例においては様々な要因を考慮する必要もありますので、必ず上司の方や人事部・総務部の方などとご相談やご確認のうえ、慎重なご対応をしていただくことをお勧めいたします。