今回の質問
勤務先の担当者から、「うちの会社は有給はありません。休んだら給料は引かれるからそのつもりで。」と言われました。
有給がない会社というのもあるのでしょうか?
回答
そのようなことはありません。
どの会社にもあります。
今回のポイント
・有給とは
有給は正しくは年次有給休暇といいます。年休ともいいますね。
一年ごとにもらえるお給料アリの休暇、という感じでしょうか。
お給料有りかどうかがどうしてわざわざ明記されているかというと、ノーワークノーペイといって働いていない日は給料はもらえないというのが原則だからです。有給の休暇というのは働かないのにお給料がもらえる、というありがたいお休みなのですね。
・年次有給休暇は法律で定められている
この年次有給休暇は実は労働基準法という法律に定められているのです。ですので、会社によって違う、ということはありません。
そして法律に定められた権利ということで、その利用目的を伝えて承認されなければ休ませてもらえないなどということもありませんし、厳密な手続きをふまなければ取得できないということも原則としてはありません。
・いつもらえるか
法律では雇い入れの日から6か月継続勤務した日にその権利が発生、ということになっています。原則は10日です。
会社によっては入社したらすぐ10日もらえるように社内ルールを定めているところもあるかもしれませんね。法律より悪い条件を社内で定めることはできませんが、上回るのであれば大丈夫なのです。
ただ、パートさんのように週2日しか働かないなど勤務の日数が少ない場合は、同等に10日もらえてしまうと不公平になりますので勤務日数によって変わってきます。
ご注意ください。
・そのほかの有給
会社によっては慶弔休暇などお祝い事やご不幸があった場合に使える休暇が整備されていて、その場合もお給料は支給される、という有給扱いの休暇もあると思います。
先ほどご紹介した法定で定められた年次有給休暇と異なり、こちらは会社で定める会社休暇と呼ばれるものですので、有給か無給か、日数や取得の要件などもそれぞれの会社ごとにルールを決めることができます。
実務の現場では
この話題は私がこのブログを作成しようと思ったきっかけそのものです。
帰宅途中の電車でサラリーマンの二人組が「うちの会社有給ないから・・」と話すのを聞いて、それはあまりにも・・と思っていたのですが声をかけるわけにもいかず、社労士として何かできることはないのだろうかと思っていたのでした。
さすがに有給自体が使用できない、という極端なケースは稀かもしれませんが、利用目的をきちんとつたえないと許可されない、などの例はあるのではないでしょうか。
本文にも書きましたが、利用目的も伝える必要はありません。
働き方の見直しが進む中、年休が上手に使える働きやすい環境になるといいですよね。
なお、この内容は起こり得る事例を想定し、一勤務社労士の知識と経験に基づいて
一般的な解説をお伝えしています。
実際の個々の事例においては様々な要因を考慮する必要もありますので、必ず上司の方や人事部・総務部の方などとご相談やご確認のうえ、慎重なご対応をしていただくことをお勧めいたします。