24「誰もが活躍できる職場」
塗装職場はすこし特殊なメンバーがそろい過ぎた感はあるものの、どの職場も個性的なメンバーがそろっていた。そして、一見単調に思える製造現場も、多種多様な仕事があり、その得意分野を活かせるところがたくさんあった。
例えば、ワッシャーやゴムパッキンなどちいさな部品をひたすら組み立てる工程がある。こういうところは力は要らないがミスをせずずっと同じことを続けるための集中力や持続力が必要で、主に女性や障碍者が配置されていた。
溶接など重い部品を取り扱うところは、パワー系の作業者がその筋肉を競い合っていたし、旋盤など加工の職場ではその技術を大事にしていた。
また、大量製品ではなく少量生産のものは機械化できる部分が少ないので、部品から手作りをしなければいけないが、そういう部署では様々な工具を使って、器用に細かい作業を行ったりもしていた。
機械が壊れたときなどに助けてくれる技術の人たちは電気関係の資格をもって活躍していたり、どんな人でも必ず活躍できる場があるのが製造現場の仕事で面白かった。
ちなみに、ぼくの場合は、体力もパワーも、集中力も、電機や機械の知識もなかったので、どうやって生き残っていくかよく悩んでいた。
ましてリーダーなら、その職場の全てにおいて誰よりも早く美しく出来、見本になれないとそっぽを向かれてしまうということもあったので、なおさらだった。