21「夜勤」
自分が徐々にリーダーらしくなっていくことを高梨班長も認めてくれたのだろう。
ある時、
おまえ夜勤に入らなくていいから。常昼(じょうちゅう、といった)でやれ。
と言われた。つまり、班長は夜勤はしないので、昼しかいない。リーダーが夜勤に入ってしまうと、班長とリーダー間のコミュニケーションが薄くなる。そうなると職場作りが滞るから、ということだった。
夜勤をやめると給料はぐっと下がる。当時のぼくの給与額でいうと数万円のレベルだ。
その分、おまえは賞与で評価してやるから、といってくれたので、わかりました、と答えた。
実はこれはぼくにはとてもありがたい申し出だった。夜勤が好きな人もいるが、自分には結構きつかった。一週間ごとに昼と夜を繰り返すため、昼勤のときは月曜から金曜の昼、夜勤の時は月曜の夜から土曜の朝まで、を週ごとに繰り返すことになる。
昼勤の時は水曜日くらいまで身体がだるいし、夜勤の時は水曜日くらいまで眠れなかった。
こうなると、毎週半分くらいはろくに活動できないような状態になる。まだ30代だからいいけど、これはこの先ずっとだと大変だぞ、と思っていた。50代でも夜勤をやっているひともいるが、すごいと思う。
現場の仕事はただでさえ身体を酷使する。定年後に長生きした例はあまり聞いたことがない。おそらく夜勤による疲労の蓄積も大きいのではないだろうか。