会社や仕事のあれこれを考えるブログ

仕事の悩みや疑問をわかりやすく解説するブログです。あなたの会社ライフが少しでもよいものになりますように!

社会保険労務士ってどんな資格? ~中小企業診断士とのダブルライセンス

  17. 社労士と中小企業診断士の比較

ダブルライセンスの番外編として、よく比較の対象になる社労士と中小企業診断士を見ていきたいと思います。

ä¼ç¤¾ã®ãã«

 

〇どちらが難しい?

一般的にはどちらも合格までに必要な時間は1000時間以上とされており、弁護士や公認会計士ほどでないものの、難関試験の一つとされています。
気になる合格率については、社会保険労務士については幅はあるものの5~7%前後、中小企業診断士については一次試験で約20%、その後の二次試験で20%ということになっています。
これを見る限りでは一見中小企業診断士のほうが合格率が高そうに見えますが、一次試験の合格者しか二次試験を受験することが出来ませんので、実際には20%の合格者のうちのさらに20%ということになるため、全体の4%(20%×20%=4%)と考えておいたほうがよさそうです。
このように、難易度で見ますとほぼ同じくらいと考えることが出来そうですが、実は受験の方式が少し異なっています。
例えば、社会保険労務士試験は全10科目を1日で受験します。
午前中は選択式、午後は択一式と問題形式が異なりますが、全科目を1日でこなし、しかも各科目に足切りライン(科目や年によって違いますが概ね6割程度とされています)がありますので、取りこぼしのないように配慮しながら、合計点が合格ラインを超えるように
しなければいけません。
一方の中小企業診断士試験は一次試験は2日に分けて行われ、かつ、全7科目あるうちどれか合格ラインに達していれば、その権利を翌年まで持ち越すことが出来ます。
つまり、一次試験を2年がかりで計画的に攻略することが出来るということになります。
また、暗記モノがとにかく多い社会保険労務士試験に比べて、中小企業診断士試験は知識を活かしてどう解くか、という問題が多いです。
このことから、数値的な難易度自体はそれほど変わらないものの、試験方法やその内容が異なるため、受験者の性格や試験への取り組み方により、合格への可能性が変わってくる、という見方もできるかもしれません。

 

〇勉強内容の違い

中小企業診断士試験の場合は、経営法務、企業経営理論、運営管理、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策、などの科目は暗記の傾向が強いと言えるでしょう。但し、社会人として業務をされている方であれば、なんとなく耳にしたり、実務上関りがあるという内容も多く、あまり抵抗感なく勉強を進めることが出来るのではないかと思います。
また、経営学・経済政策、財務・会計、においては、暗記科目ではないため、考え方を身につけて、計算などをしながら答えを導き出せるようにしておく必要があります。

一方、社会保険労務士試験の場合は、ほぼどの科目も暗記が中心となります。
労働基準法については、法律の解釈を理解するということが重要になりますが、
その他の科目(労働安全衛生法労働者災害補償保険法、雇用保険法、労働保険の保険料の徴収などに関する法律、労務管理その他の労働に関する一般常識、社会保険に関する一般常識、健康保険法、厚生年金保険法国民年金法)に至っては、全てそれぞれの給付の名称、内容、給付期間や金額、手続き方法(いつまでにどんな書類で請求する、など)をひたすら暗記する必要があります。
また、挑戦が複数年にまたがる場合は、法改正が入る場合があり、給付内容が追加または廃止されたり、日数など暗記すべき数字が変更になってしまったりするので、覚えなおす、という作業も必要になってきます。
中小企業診断士の勉強をしてきた方が社会保険労務士試験に挑戦する場合は、ひたすら暗記が多くて大変だ、と感じられるのではないかと思います。
また、社会保険労務士試験の内容には実務的な内容が多く含まれますが、実務で関わっている人は限定される(総務や人事の方と思われます)こともあり、多くの方にとってはハードルが高い印象になるかもしれません。


〇学習方法や学習時間の違い

さて、お伝えしてきたような試験の特色から、学習の方法も少し変わってくるように感じています。
社会保険労務士試験については、やはり暗記がメインとなりますので、語呂合わせなどを駆使しながら、ひたすら覚えるということになるでしょう。翌日には半分以上忘れている、という忘却曲線との戦いになるかもしれません。
しかし、この理論は、きちんと何度も復習をすれば記憶として定着する、ということも教えてくれています。
問題集は1回だけでなく2回転、2回転よりも3回転と同じ問題を数多くこなすうちに、覚えている内容も増え、すぐに思い出せるようになります。
4回転を超えるころには問題集に味が出てきて愛着と自信がわいてくるでしょう。
また、どの問題をみてもさっと答えられるようになるので勉強が気持ちよく楽しくなってくるはずです。ここまでの領域にたどり着くにはかなりの努力と忍耐が必要ですが、ぜひ
体験していただきたいと思います。もちろん、暗記が得意、という方はこのような苦労は不要かもしれませんね。
中小企業診断士試験については、暗記科目については先ほどの社会保険労務士試験と似た勉強方法になりそうです。但し、経済学や財務会計などの科目については暗記よりも解法を覚えるという勉強方法になりますので、同じ問題集をひたすら回すというよりは、様々なパターンの問題に挑戦しながらいろいろな解法パターンも身につけていく、ということになりそうです。
なお、中小企業診断士試験には二次試験というものが存在します。
二次試験では、与えられた事例をもとにその企業のおかれている状況を読み解き、さながらあなたが中小企業診断士となって、コンサルティングを行うという記述式の問題です。
この試験では、一次試験での知識力を使いつつ、さらに、与えられた文章を読み解く読解力、企業のおかれている状況を想像する想像力、などが求められます。
これについては多少のテクニックも学ぶ必要がありますので、予備校などの講座を利用するという手が有効かもしれません。


〇両方取得するメリット(Wライセンスの相乗効果)

どちらも難関の試験ではありますが、当然に両方取得しておけるのであれば相当なメリットがあると思われます。
中小企業診断士試験は、その試験範囲の広さから、様々なシーンで活用が期待できるものではありますが、反面、浅く広くのイメージをぬぐいさることは難しいでしょう。
この点、中小企業診断士社会保険労務士を加えてWライセンスとすることは、ゼネラリストとしての強みに、さらに専門性をプラスすることができるということになります。
社会保険労務士試験は、中小企業診断士試験の中の経営法務や企業経営理論の人材分野との相性もよいことから、法務、人事、総務、など人材管理系の分野ではほぼ隙なし、ということをアピールできる材料になるのではないでしょうか。
難しい試験ではありますが、合格すれば世界が広がります。ぜひ頑張ってください!