50「次の挑戦へ」
現場の仕事は楽しかった。いろいろなことを学び、仲間もできた。考え方も随分変わった。だけれども、身体を壊して辞めていく先輩も多く見てきた。冬は外と同じ気温、夏は40度を超える気温での重労働。おまけに夜勤もある。
どうみてもずっと続けられる仕事とは思えなかった。
もちろん、将来は班長に、とか言ってくれる人もいた。そんな保証はどこにもない。
高梨班長から山賀班長に変わったときにいきなり扱いが変わったように、上の人や方針が変われば、どうなるかわからない。現に、あれだけ実績を残した高梨班長だって、今や現場を離れてしまった。
やはり体のことを思うと事務職か。しかしそうなると自分の経験上、総務しかない。
ただ、いくら現場で実績を上げても、この会社で総務に戻れることはないとわかっていた。
そうなると、転職するしかない。
しかし、もう現場へきて数年になる。これだけブランクがある状態で、しかも30歳も半ばだ。転職するなら35歳と言われている状況で、受け入れてくれる会社があるのだろうか。でもやるしかない。
現場に来てからしばらくやめていたが、社会保険労務士の試験を再挑戦しよう。
そしてもし受かることが出来たら、転職活動をしよう。そう思うことにした。