会社や仕事のあれこれを考えるブログ

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人生で大事なことは製造現場が教えてくれた

6「部長に呼び出される」


数日後、部長に呼び出された。大会社の部長はとても偉い。
我々のような実部部隊の人間は接触する機会はほとんどない。そんな人から呼び出しがあるということは・・。
おおかた予想がつく。

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 部屋に入ると部長と課長が待っていた。なぜか椅子だけが三角形においてある。
一つ空いていた椅子に座るよう促された。

まあ、どうぞ。大変そうだね。
口調こそ穏やかなものの、冷たい印象だった。
ここへきて何年になるんだっけ。
二人に囲まれて、うつむくしかないぼくを、覗き込むように話しかけてくる。

君を面接したときのことを覚えてるよ。期待したんだけどな。
今の仕事はもう、むりだろ。クリニックでも言われたんだろ。
会社には残りたいのか?この会社にいれば安泰だからな。
転職してきたばっかりだからな。
でもな、君にできる仕事はもうないんだよ。
結婚したばっかりなんだって?家も買っちゃったんだってな。
会社にのこるの?残ってもいいことないよ。
ふーん、じゃ、現場いくか。
現場はきついぞ。暑いし重い。夜勤もあるしな。
おまえにできるのか?
みんなきつい思いをして一生懸命やってるよ。
溶接だったり、塗装だったりな。
もうスーツはいらない。作業着だ。
きみみたいなのに務まるとは思えないけどね。
もう一度言うけど、会社やめるっていう選択肢もあるんだよ?
あーそう、現場でやってみるの、ま、無理だと思うけど。

予想外だった。課長はともかく、部長というくらいの人なら人格者で、弱っている人の気持ちもわかってくれるんじゃないかという期待が甘かった。

完全な退職勧奨だった。

でも、自分が悪いのだから仕方ない、と思っていた。
この状態で会社を辞めても雇ってくれるところなんかない、現場だろうがなんだろうが
残らせてもらえるだけでいい、それ以上何かを考えることはできなかった。

これ以上ないくらい消え入りそうな声で、すみません、と、会社は辞めたくないです、を何度も何度も繰り返し、やっと三者面談は終わった。