今回の質問
「遅刻や無断欠勤、早退を頻繁にする人がいます。どうやら会社には嘘の理由を伝えて、
遊んでいるらしいという噂もあります。クビにすることはできないのでしょうか?」
答え
程度によっては解雇を検討することもできるかもしれませんが、手続きは慎重に行う必要があります。
今回のポイント
・なにがいけないのか
一般的な感覚でも虚偽の理由による遅刻や無断欠勤はいけないことだということはすぐに理解できるところだと思います。
ただ、常識からみてダメなことをしているからクビにしました、という考え方が通じるのであれば、労働者としてはいつクビをきられてしまうかヒヤヒヤしながら仕事をしなければいけなくなります。
では法律上はどのように考えるのでしょうか。
虚偽の理由による遅刻や無断欠勤などについては会社と労働者が結んだ契約を果たしていないという意味で、労働契約の債務不履行にあたると考えられています。
会社としては契約を結んだ相手がその義務を果たしてくれないので契約を解消したい、という考え方により契約解除すなわち解雇、という考え方になるわけです。
・どのような場合に解雇できるか
ただし、解雇というのは労働者の生活基盤を奪ってしまうとても大きな問題ですから、
労働者の能力がない、ふさわしくない、などの問題がある場合でもその程度がとてもひどく、
何度注意しても改善の見込みがないということが誰が見ても明らかであるという状態でなければ解雇は難しいと考えられています。
過去の裁判例でも“何十回の遅刻に対しその都度注意しても反省がない“、とか”誓約書を書かせてもまた繰り返す“、とか「勤務成績不良で職場での協調性に欠け、上司の人格攻撃を行い・・」など第三者的にもそこまでであれば致し方ないのではと思えるようなケースで解雇が有効とされているようです。
実際の現場では
今回は解雇に関するテーマを取り上げました。
もしあなたの部下にこのようなケースに該当するような方がいらっしゃるのであれば、
まずはきちんと注意を行い、その履歴をしっかり残し、また、人事部や総務部などの担当部署と連携しておく、という対応をお勧めいたします。
最終的に解雇をしなかったとしても、日々のこういった対応の積み重ねが労務トラブルを最小限に抑えることに繋がります。
なお、この内容は起こり得る事例を想定し、一勤務社労士の知識と経験に基づいて
一般的な解説をお伝えしています。
実際の個々の事例においては様々な要因を考慮する必要もありますので、必ず上司の方や人事部・総務部の方などとご相談やご確認のうえ、慎重なご対応をしていただくことをお勧めいたします。