37「小銭を積んで酒を飲む」
みんあ山賀班長にいろいろ細かく指示されたり叱責されたりしてうっぷんがたまっていたのでよく飲みに行った。
多分、この頃が一番よく飲みにいったし、結束力も強かったかもしれない。
もしかすると、高梨班長の頃よりある意味で山賀班長はぼくらの結束力を強くしたともいえる。
ばか班長がよー。わかってねえよなー。あいつばかだからよー。
おめえだってばかにはちがいないだろうがよ、ばかがばかばか言ってりゃ世話ねえな
みたいなことを延々と言ってるだけなのだが、これが結構楽しかった。
場所はたいてい駅近の立ち飲み居酒屋。みんなお金がないから、持ってる有り金を全部カウンターの上に晒して、その合計をみんなで崩しながら飲む。
みんなで集めたお金をみんなで飲むのでやたら仲間意識が生まれたし、もう一杯飲んでもいい?おー飲めよ飲めよーみたいな感じで配慮もあった。
ちなみに、みんなが同額だすとは限らない。持っている人がだせばいい。お金の感覚が日銭の感覚で、宵越しの金は持たねえ、みたいなお金の使い方をする人が多かった。俺のほうが多く出してる、とか野暮なことを言う人はいない。パチンコで勝ったからよ、おれが出しといてやるよ、みたいな場合はさらに盛り上がった。お札やら小銭やらがじゃらーっとカウンターに置かれて、それを眺めながらひたすらふざけた話をして笑いあうという、呑気なことをやっていた。