27「川田くんとじいさん」
ある時、夏季アルバイトで仕事を手伝ってくれていたことのある川田君から、
もし募集してたらおれ働きたいんすけど
と連絡があった。
彼は、とてもフレンドリーな性格で、すぐに誰とでも仲良くなれた。
初対面でも、そういうこと聞く?ということを聞いてくるくらいで、びっくりすることもあるのだが、なぜか嫌な感じを与えずに会話ができる人だった。
彼なら、今の塗装のメンバーとも違和感なくやれるだろうと思い、班長に紹介して、期間工として採用となった。
また、期間工で木島さんというおじいさんも入ってきた。この人は鉄工所など製造関係の経験がある人で、年の割にとにかく腕力がありタフだった。酒の量も半端じゃなかったが、気づかいもでき、根っからの江戸っ子で、職場を盛り上げてくれた。
この二人は体力があり、性格も明るく、仕事を覚えるのも早いし、かつ、積極的にどんどん仕事をこなしてくれるので、とても助かった。いつも、リーダー、次なにやります?といった具合で、こちらが戸惑うほどだった。
また、これまでのケースだと、自分がある程度仕事を覚えると一人立ちしたような気分になって(自分もそういうタイプなので気をつけないといけないのだが)こちらの言うことをきかなくなるようなケースも多かった。だが、この二人に関しては、みんなで一緒に仕事をするということを楽しめる人たちで、自分も大いに助けてもらったし、みんなで仕事を楽しみということを教わることが出来た。
実はこの二人が加入するまで、段取りや後片付けはこれまでのように一人で行うことが多かったのだが、二人が来てから、みんなで一緒にやれる雰囲気が出来て、一人で何かをしなくてはいけないという状況はほとんどなくなっていった。
二人の強力なサポートを得て、職場はますます盛り上がっていった。